Webメモ帳

鑑賞記録

映像作品の感想

2015年

『DENKI GROOVE THE MOVIE? 石野卓球とピエール瀧

邦画  ★★★☆☆

特に電気グルーヴのファンでも何でもないですが、とても楽しめました。自分が知っているのは「シャングリラ」の大ヒットくらいですが、そこに至る歴史と、その後の二人の歩みは本当に面白くてカッコよくて、知らないからこその感動がありました。ライブ映像等も、間延びしない程度で次々と切り替わるのでテンポもよかったです。逆に、大ファンですっていう人たちには少々物足りない内容なのかもしれないな、とも思いました。

『クリード チャンプを継ぐ男』

洋画  ★★★☆☆

筋骨隆々に鍛え上げられた俳優の肉体にまず驚きです。ボクシングの動きも尋常じゃないスピード感で、本物のプロボクサーにしか見えません。試合に向かう際のカメラワークも役者の背後から長回しで撮り、ドキュメンタリーの様な雰囲気を出しています。そのせいもあってか、まるで実在のボクサーの人生を追っているような気持ちにさせられて、入り込んでしまいました。偉大な父親の影を振り切って自分を見つけていくアドニス。その彼のコーチをするロッキーが、逆にアドニスの姿に励まされながら自分自身の戦いに立ち向かっていく。その二人の思いが最後の試合に繋がっていくながれは感動的です。

『スター・ウォーズ フォースの覚醒』

洋画  ★★★★☆

評判が良くなかったので不安でしたが、そんなことはなく素直に楽しい映画でした。映像もかっこいいですし、456のメインキャストが登場するシーンでは、待ってましたとばかりに心の中で拍手です。そもそも重厚なテーマや今までにない斬新な映画なんかを期待せずに行きましたが、良くも悪くも期待を裏切らない作品でした。でも、それで良いと思います。戦争の背景などがあまり説明されなかったのが不満ですが、それも含めて次作以降に期待です。

『007 スペクター』

洋画  ★★★★☆

文句なく楽しいスパイ映画でした。冒頭メキシコでのアクションシーンから早速すごいです。ボンドのかっこよさと少しの弱さ、美人のボンドガール、美しい舞台の数々と、お腹いっぱいです。ダニエル・クレイグはこれで最後でしょうか。次回作も楽しみです。

『コードネーム U.N.C.L.E.』

洋画  ★★★☆☆

「ナポレオン・ソロ」という昔のスパイもののリメイクです。冷戦時代のCIAとKGBの工作員がチームを組むところが面白いですね。それぞれキャラが立っていて、掛け合いが良いです。アクションよ良いですが、どちらかと言うとオシャレ方向かもしれません。

『エベレスト 3D』

洋画  ★★★★☆

気まぐれな天候の変化や、ちょっとした判断ミスによって簡単に命を落としてしまうエベレスト登山の恐ろしさが圧倒的にリアルな映像で疑似体験できます。映画的な御都合主義の感動的なラストを期待すると裏切られます。事実に基づいていることもあり、どちらかというとドキュメンタリーです。前半、なぜ山を登るのかと仲間同士に問うシーンがあり、それぞれの熱い思いが語られます。しかし後半の無情な展開の中で、それらの思いが大自然の前にむなしく響いている気がしました。しかしなぜこんな辛くて怖くて死んじゃうような山に登ろうとするのか。自分には縁のない世界です。

『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT

洋画  ★★★☆☆

Perfumeのワールトツアーの様子を撮ったドキュメンタリーですが、特に大きな事件が起きるわけでもなく、比較的淡々と展開します。でも世界を回りながら、前向きに楽しんでライブをする3人と、世界中のファンの盛り上がりを見ていると、不思議と幸せな気持ちになれます。裏ではきっとすごく大変な努力、ハプニング、悩みなんかがあるに違いありませんが、そういったことを安易に演出に使っていないのところが素晴らしいです。爽やかなロードムービーに仕上がってます。性格のベクトルが違う3人のキャラが立ちすぎで、その中でも特にあーちゃんのカリスマ性がすごいです。今まで特にファンではありませんでしたが、思わず応援したくなってきました。

『マイ・インターン』

洋画  ★★★☆☆

デニーロ演じるじいさんが完璧すぎます。若者ががんばるのをそっと見守って、必要な時には優しく手助けする。そしておしゃれでカッコよくて仕事もできる。主人公の女社長は、バリバリ働いて成功しています。その一方で、彼女をサポートするために仕事を辞めて主夫をする旦那との仲がうまくいかず悩んでいます。贅沢な悩みですが、デニーロの助けもありなんとか幸せの形を見つけていきます。こんな理想的な職場や人間関係が現実にはほとんど存在しえないからこそ、この映画を観て心が癒されます。しかし旦那とのラストのやりとりは全く納得できませんでした。なぜそんなにあっさり?

『カンフー・ジャングル』

洋画  ★★★☆☆

敵役がいろいろな流派のカンフーの達人を次々と殺していくのですが、その少年漫画的な展開が燃えます。アクションシーンはスピード感があり、様々な動きのアイディアが間延びすることなく連続で繰り広げられます。ジャッキーチェンなどのカンフー映画の典型的な雰囲気を踏襲しつつ、それを正常進化させ何段階もクオリティを上げています。オーソドックスなストーリーが絶妙にアクションシーンを引き立てていると思います。ラストに主人公が目的を半分忘れて、カンフーの技と技をぶつける正々堂々の対決を挑むシーンは本当に熱いです。舞台といい格闘の流れといい、バトルものとしてもう完璧ですね。

『おそ松さん』

アニメ  ★★★★☆

小さい頃に平成版のおそ松くんや天才バカボンを観て大いに笑った記憶がありますが、今は「お笑い」の進化に漫画アニメが付いていけてない印象です。そんな中、大人を正面から笑わせることに挑戦した珍しいアニメです。クズなニートになった六つ子達のそれぞれのキャラクターや言動を楽しむのがメインです。そこにシュールな笑いをちょくちょく挟んできます。深読みするとぞっとするような話なんかもあります。たまに攻めすぎていて伝わらずポカーンな回もありました。でもそれも含めて、今までにないアニメなのは間違いありません。最終2話はギャクアニメのお手本のような流れで素晴らしかったです。

『バクマン。』

邦画  ★★★☆☆

ストーリーはあっさりしていますが、映像がなかなかかっこいいです。漫画の画面をCGで実写と融合させ、アクティブに漫画制作の様子を表現しています。漫画を描くシーンで、書いたコマが動き出したりプロジェクションで役者の上に投影されたりと、センスのあるシーン満載です。絵を描くペンの音に徐々にパーカッションが重なり、それがサカナクションの楽曲に繋がっていくシーンは鳥肌ものです。少年時代にジャンプに熱狂した気持ちを少し思い出してノスタルジーにひたりました。そしてエンドロールですが、あの演出は本当に良いですね。

『アントマン』

洋画  ★★★☆☆

地味に面白かったです。アベンジャーズほど派手でもなく、迫力のある動きも「小さい」世界での出来事としてコミカルに描かれていて楽しいです。なによりストーリー展開がシンプルで、マーベルの予備知識がなくても入り込めるところがよかったです。小さくなって戦うという古典的なアイディアですが、だからこそ純粋に楽しめる作品になっていると思います。

『心が叫びたがってるんだ。』

アニメ  ★★★☆☆

喋れないという設定なので一見重そうですがそうでもなく、爽やかな青春ストーリーになっています。しゃべれない少女がとにかく可愛くて、それだけで見る価値ありです。心ではしゃべりたいことがいっぱいあるが言えない、でもその思いがしぐさや表情に溢れ出てくる様子がとても魅力的に表現されています。展開の方はかなりロジカルです。傷つけることを恐れて伝えられない、伝えることを諦めた、誤解して伝えてしまう、伝えずに片思いする、などなど、「伝える」ことに悩むキャラたちが成長していき、最後のミュージカルシーンにその思いが収束されていきます。構成は良いのですが、個人的には普通の高校生がこのクオリティのミュージカルを完成させるとしたら、動機が弱いなと感じて違和感を拭えませんでした。そしてお決まりの主人公の意味不明なモテっぷりもやはり疑問です。

『天空の蜂』

邦画  ★★★☆☆

一見すると反原発ものですが、それを題材に物事の負の部分をあえて見ないようにしてごまかし、「逃げる」ことへの警笛をメッセージだと受け取れました。とにかくセリフ回しや演出が、クサい、古い、熱いといった具合で、一言で言うとダサいです。でも中途半端にスタイリッシュでクールぶるよりも、反対側に振り切れていてむしろ気持ちが良いかもしれません。昨今あまりない熱血系、体育会系のノリです。しかしこの話、震災後に作られたものかと思いきや、1995年の時点で東野圭吾さんが原作を書いていたとは。天才ですね。

『ナイトクローラー』

映画  ★★★★☆

スクープを追うフリーカメラマンの主人公は典型的な「サイコパス」です。自分の目的のためには他人を犠牲にしたり裏切ることに何の感情も持ちません。頭脳は明晰で、むしろ仕事に対してはとても優秀です。企業のトップなどのビジネスで成功している人には、サイコパス傾向の高い人が多いそうですが、まさにそのイメージです。自分の身の危険に対しても感情が希薄で、危ない現場に平然と踏み込んでいくところもリアルです。このダークヒーローは、人でなしある一方で魅力的にすら感じてしまう雰囲気があるとこも、サイコパスを完璧に表現していると思います。現実社会に1%の割合でサイコパスがいると言いますが、背筋が寒くなります。

『日本のいちばん長い日』

邦画  ★★★☆☆

終戦に向けて紛糾するいろいろな立場の人間を描いた作品です。過剰な演出を控えたドキュメンタリータッチで進行しますが、終戦か本土決戦かの緊迫したシーンの連続に、意外と飽きずに見れました。基本的には無事に終戦できるのか、というのがストーリーですが、あまり悪役という感じの人は出てきません。暴走する陸軍将校も、終戦を邪魔する悪い連中というよりは、彼らの企みが成功しないといいなというくらいの気持ちで観れました。ただあくまで舞台は政治であり、庶民の目線が皆無です。大事な議論が非常に狭い人間関係の中でなされ、物事が決まっていきます。実際もそんな雰囲気だったのかと想像すると、なんだか恐ろしいです。

『インサイド・ヘッド』

アニメ  ★★★★★

主人公の女の子の体験と並行して、頭の中に住む5つの感情を表すキャラたちの物語が進行します。喜びに溢れた子供時代から、様々な経験をして悲しみも含めた複雑な感情を処理することで成長していく様が、脳内の世界で語られるアイディアはさすがピクサーです。一見なぜ必要なのか分からない「悲しみ」の大切さ。大切だけどいずれ消えていく記憶たち。破壊と再生を繰り返して確立されていく人格。そういった楽しくて切ない感情と人生のいろいろな側面を、感情の司令室、記憶のボール、性格の城、想像の世界などで表現していてセンス良すぎです。幼い頃の想像上の友達のゾウが、忘れかけられて心の奥にいるのですが、彼が活躍するクライマックスは色々な意味が凝縮されていて、本当に号泣です。

『ど根性ガエル』

ドラマ  ★★★★☆

実写とアニメの平面ガエルが何の違和感もなく融合していて見事でした。大人になっても同じ町で、同じメンバーで、同じような生活をしているひろしとピョン吉ですが、京子ちゃんが離婚して町に戻ってからの出来事を通じて、少しずつ変わっていきます。ひろしが大人になっていくにつれて死に近づいていくピョン吉。子供な自分やコミュニティなどの今あるものは永遠ではなく、だからこそ貴重なものです。それらの「終わり」を経て大人になるっていう話かと思いきや、そうではありません。ラストはまさに想像を超える展開です。スカイツリーを見上げる下町という、時代の変化に取り残された雰囲気ただよう舞台で「終わらない」ことへの肯定が描かれます。

『バケモノの子』

アニメ  ★★★☆☆

誰でも心に闇をかかえていて、生きていくのが苦しい時がある。でも親と子、師匠と弟子、男と女、いろんな人間関係が人に力を与えてくれる。ラストはある方法でまさにその力を主人公の中に永遠に宿します。とても良い話ですが、なんだか展開が綺麗すぎます。心の闇といっても、観ている者の心に深くささるようなものではなく、案外ありがちであっさりしています。みんなが安心して観られる映画という雰囲気は、むしろディズニー映画に近いかもしれないと感じました。自分が日本のアニメに期待しているのはこれじゃないなと。ただ、とても良くできていて楽しめる映画であることは間違いありません。

『ターミネーター:新起動 ジェニシス』

洋画  ★★★☆☆

タイムスリップものの構成はシンプルでないとリアリティが無くなります。何度もタイムスリップを繰り返して、いくつもの時間軸ができ始めると、もう観客側はついていけなくなり、緊張感も生まれません。本作の設定はそれによって過去作品の流れをめちゃくちゃにするだけでなく、矮小化してしまっていると感じます。シュワちゃん登場も完全にネタと化していて、単なるファンサービスに成り下がっています。1と2が好きであるほど評価の下がる作品ではないでしょうか。ただロボット同士の無茶なアクションやカーアクションからの爆発など、エンターテイメントとしては安定して面白いのも事実です。

『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』

洋画  ★★★☆☆

とにかく豪華で賑やかで盛りだくさんな映画です。初めから終わりまで息つく暇なく戦闘シーンや各キャラのストーリーパートの連続です。AIで動くロボット軍団をみんなでなぎ倒していくシーンは、まさに「お祭り」そのものです。ただシリーズ全般を観ていることを前提に、詳しい説明もなく一気に話が進むので、特にマーベルファンでない自分にとっては少々ついていくのがしんどかったです。アクションもストーリーも複雑になりすぎていて、いまいち入り込めなかったのが残念です。もう少しシンプルにしても良いのでは。

『きみはいい子』

邦画  ★★★★☆

児童虐待、障害児、学級崩壊といった子供の問題がテーマです。3つの話が並行して進みますが、テーマや演出が一貫しているせいか違和感なく入ってきました。リアルな描写の数々が痛々しく無力感が湧きます。虐待シーンの迫力はすごいし、障害児の演技力なんか本当に子役かと思います。先生が生徒たちにある宿題を出した後のシーンが感動的で、アドリブで撮ったようです。ラストは全部解決してハッピーエンドとはいきませんが、前向きに一歩踏み出すような終わり方で、希望を感じさせられました。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

洋画  ★★★★☆

セリフも少なく中身が全くない映画ですが、最高です。とことんディティールが作り込まれた世界観と、その舞台を活かしたアクションだけでどんどん引き込まれました。格戦争後にヤンキーに支配された世界ですが、絶妙に面白い設定が溢れています。本当にバカバカしい改造が施されたクルマ達が主役ですが、なぜかカッコいいと思えてくるから不思議です。輸血袋、母乳、ハンドル、ギター、棒、などなど、今までに見たことのない小道具のアイディアが次から次へと出てきて、楽しいことこの上ないです。どうでもいいストーリーなのにも関わらず、最後はよくわからない感動に浸りました。超一流のB級映画です。

『海街diary』

邦画  ★★★★☆

親と別れ、鎌倉で一緒に暮らす4人姉妹の生活を描いた映画です。みんなそれぞれ人生の悩みを持っています。それに苦しみながらも、家族との時間を過ごす中で幸せを見つけて行きます。決して不幸のどん底という訳ではなく、普通の生活は送れている、しかし心に重苦しいものを抱えているというバランス感覚が良く、等身大の悩みとして感情移入できます。鎌倉の古民家や風景も美しく、日常生活の中にある普通の幸せというものを感じる舞台として最高です。誰かに裏切られたという思いを持った人たちが、それをしょうがないことと受け止めて前を向いて行こうとする姿がぐっときました。

『あん』

邦画  ★★★☆☆

前科と謝金を背負った男、ハンセン病患者だった老婆、シングルマザーを持つ女子中学生といった人生にいろいろな三人のふれあいがどら焼き屋さんを舞台に描かれます。小豆、桜、月など、周囲のもの全ての音や声、そして過去によく耳をすませることで、主人公が人生に向き合っていきます。ハンセン病という社会問題へのメッセージ性も強く、展開自体は泣かせにくる感動ものです。ただ肝心なところ以外はあまりセリフで語ることをせず、演技や背景の演出で見せてくれるので良いです。分かりやすさを持たせながら、ギリギリのところでベタになっていないバランスが上手いです。

『イニシエーション・ラブ』

邦画  ★★★☆☆

小説のラストをうっかり知ってしまっていたので驚きは期待していませんでしたが、まんまと騙されてしまいました。ラストを見た後だと、なんでこんなに伏線があるのに気づかなかったんだオレは!という感じでした。うまくできてます。主人公の心が移ろっていく様がとても生生しくて、憎めなかったです。イニシエーションラブの意味、誰もが「分かる!」と思うのではないでしょうか。可愛いあっちゃんと木村史乃との恋愛話、80年代あるある、最後のトリックと、色々楽しめる良作です。

『駆込み女と駆出し男』

邦画  ★★★★☆

特に大きな感動や衝撃のある展開はないですが、逆にある程度たんたんとした雰囲気が良いです。江戸末期の文化や人々の生活感を、変に分かりやすくせずに絶妙な再現度で描いています。セリフは軽快でテンポが良く、一部難しくて聞き取れないところも江戸時代っぽさをより感じさせてくれるのでグッドです。江戸の街や東慶寺周辺などの限られた舞台ですが、セットや自然の背景が美しく、それだけでも楽しいです。男尊女卑の時代に、芯を持って強く生きる女性達の姿に感動です。

『シンデレラ』

洋画  ★★★☆☆

女の子の願望をこれでもかと詰め込んだ、愛と勇気と感動のまさにシンデレラストーリーです。でもそれだけでつまらない映画だなーと思いかけました。ところがどっこい、主役のシンデレラではなく敵であるところの継母に注目すると一味違った印象になります。この作品では、一見純粋な悪人に見える継母がなぜひどい仕打ちをシンデレラにするのかという内面がしっかり表現されています。夫と死別し、ようやく再婚した新しい夫は娘と亡き前妻のことしか愛していない。そしてそんな彼も亡くなり、愚かな娘二人とのこれからの人生に幸せを見出せません。しかも時代は搾取するかされるかの厳しい中世の時代です。そんな中、目の前には自分と違い純粋で優しくて美しい完璧な存在であるシンデレラがいる。「勇気と優しさ」が大事なのはもっともですが、それを持てない継母の方にむしろ人間味を感じました。

『ワイルド・スピード SKY MISSION』

洋画  ★★★☆☆

圧倒的迫力のカーアクションを観れるだけでもお腹いっぱいですが、そこに人間のアクションシーンや格闘シーンも加わり、文句なしのエンターテイメントです。しまいにはクルマが空を飛ぶどんでもないシーンをお笑いではなくいたって真面目に見せられてしまったので、もうお手上げです。ストーリーもバカすぎず真面目すぎず、アクションシーンの邪魔をしないちょうど良いバランスでした。アブダビに行くところもなかなか旅行感があって楽しめました。

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

洋画  ★★★★☆

ドラムに合わせて文字が現れてくるオープニングからテンションが徐々に上がり、そこから怒涛の長回しとセリフの嵐で圧倒されます。スーパーヒーローもので人気だった主人公が落ちぶれたあと、舞台で本物の芸術を作り上げることで自尊心を取り戻そうとあがく姿が描かれます。共演者の才能に負け、娘からは拒絶され、追い込まれながらラストの衝撃のシーンへと向かっていきます。正直、自分の読解力では何を意図しているのか理解できない場面がいくつもあったり、いまいち主人公の心情に入り込めなかったりと消化不良な部分はあります。しかしそれを補ってあまりある映像と演出だけで、十分満足です。

『響け!ユーフォニアム』

アニメ  ★★★★☆

日常系のアニメですが、すごいのは作画のクオリティとリアリティです。まず作画ですが、これぞアニメでしか表現できないものだという感じ。とにかくキャラが可愛いのですが、表情や仕草などの微妙な表現の数々が、その可愛さを何倍にも増しています。そしてリアリティ。主人公は才能があるわけでも、性格が極端に良くも悪くもなく、目標もそこそこのまさに等身大の人物です。おこる事件も引いて見ると大したことない部活の一幕にすぎませんが、その中でのキャラたちの微妙な心の動きを丁寧に描いていて、まるで自分がその部活のメンバーになったかのように感じる瞬間もあります。ラストに向かって主人公が変わって行きますが、それも現実にありそうな些細な出来事をきっかけとしています。地味ですがなかなか良いアニメですね。

『イミテーション・ゲーム』

洋画  ★★★★☆

第二次大戦中にドイツ軍のエニグマ暗号を解読したアラン・チューリングを題材にした映画です。「秘密」が人を孤独にし、苦しめていく様子が切ないです。暗号に関わった人たちは、偉業を達成しながらも軍事機密のため家族にすら本当の仕事を打ち明けられなかったそうです。暗号、機密、同性愛、スパイなど、様々な秘密が交錯していきます。主人公はアスペルガー症候群で少年時代から人間関係に苦労するのですが、暗号解読の仲間達とのふれあいで良い方向に進みかけます。他人の会話のニュアンスを少しずつ解いていくことが暗号の解読と重ねて描かれます。しかし隠し持っている秘密によって人生が歪んでいきます。悲しいです。

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』

洋画  ★★★☆☆

料理+音楽+旅が最高です。料理シーンが繊細かつスピーディで、バラエティ豊かなメニューを次々と作るのを見ているだけで楽しいです。そこにノリの良い音楽があわさって、なんだか幸せな気持ちになれます。料理する姿がMoco'sキッチンに似てるなあと思いました。まさに「料理エンターテイメント」という言葉がぴったりです。親子関係が大きなテーマですが、Twitterを駆使して宣伝する今どきの息子の姿が可愛いです。アメリカを横断しながら立ち寄る街並も魅力的で、そこへ行って名物料理を食べたい!と思わせてくれます。すごくシンプルですが、ポジティブでハッピーな展開は人生に希望を感じさせてくれます。

『くちびるに歌を』

邦画  ★★★★☆

感動するストーリーが見事に構成されていて、まんまと泣いてしまいました。主人公のガッキーの身の上は多少現実味のない、感動させますよ的な設定なのですが、あくまで脇役です。本当の主役は生徒たちで、彼らの悩みは大きすぎず小さすぎず等身大で、感情移入できました。伏線を最後までしっかりと回収し、綺麗なロケ地の映像とともに綺麗な感動ストーリーを見せてくれます。あざとさも見えますが、そんなの気にせず素直に幸せな気分になれる良い作品です。

『幕が上がる』

邦画  ★★★☆☆

基本的には安定した青春ストーリーです。ももクロの演技が意外にも自然で良く、特に赤の人は演出化の仕切り感がすごくハマっていて、とてもアイドルには見えませんでした。黄色の人も華があって主役を演じるキャラ設定なのですが、劇中で演じるシーンがあると本当にオーラを発した気がします。ただ、所々に映画に没入するのを妨げる要素があったのが残念です。豪華キャストということなんでしょうが、「有名人」って感じのタレントがどうだとばかりに登場するたびに気が散りました。そして最後、幕が上がった瞬間にかかるももクロの代表曲。銀河鉄道の夜の心にしみるセリフを聞かせて最後を締めくくるのを期待していたので、本当にがっかりでした。

『アメリカン・スナイパー』

洋画  ★★★★☆

イラクで160人を射殺したスナイパーの話です。まさにアメリカのヒーローであるはずの人物の視点から、戦場の悲惨さ、善悪のあいまいさ、精神を病む帰還兵などの裏の部分が描かれます。祖国を守る信念に燃えていたカイルが、最後は家族を顧みず敵への復讐に向かっていく流れが見ていて辛いです。そして衝撃なラスト、これが実話だというのだからすごい。アメリカ人はこの映画を観て自信を喪失してしまわないのだろうか?

『プリデスティネーション』

洋画  ★★★☆☆

タイムスリップものですが、他とは一味違います。謎を残したまま話が進んで行き、最後はまさかの展開です。視聴前のネタバレ厳禁な作品です。卵が先か鶏が先かを考えたことはあるか?という作中のセリフがありますが、観終わったあとはまさにそのことをあれこれ考えてしまいます。時系列がとても複雑ですが、登場人物が多すぎないせいかとても分かりやすかったです。でも例え途中で多少ついて行けなくなっても、ラストの驚きは味わえるでしょう。

『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』

洋画  ★★☆☆☆

なんだかとてもエロそうだったので観てみましたが、完全に期待はずれでした。イケメン社長の変な性癖もかなりふわっと表現されるだけです。とにかく主人公の女に感情移入できません。なんの努力もせずにイケメンの大金持ちにちやほやされておいて、その上自分の恋愛観を最後まで押し付け続けます。まだ大学生なのであのようなラストなんでしょうが、もしアラサー女子だったらもっと計算できていたのかも。

『はじまりのうた』

洋画  ★★★★☆

音楽の世界から追い出された人やそれを目指す人たちが、音楽を通じて新たな人生のスタートを切っていきます。主演の二人がスプリッターで同じ曲をイヤホンで聞きながら街を歩くシーンがとにかく良いです!音楽がなんでもない景色に意味を与えるというセリフのままに、街並みや、そして人生も何かに彩られている気がしてきます。挿入曲も素晴らしく、かなり長回しで曲が流れるシーンが多いですが、間延びすることなく入り込むことができました。普段音楽を聞くことはありますが、こんな風に音楽とともに感情を他人と共有する機会はあまりないので、映画の中の世界が羨ましいです。鑑賞後はライブやフェスに無性に行きたくなります。

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